水平方向の協働がイノベーションを生む
経営幹部の多くは、境界を超えた協働を促すには組織の壁を壊すことが重要だと理解しているが、その実現には手を焼いている。無理はない。実現は極めて難しいからだ。たとえば、職場での人間関係を考えてみるとよい。まず、自分の上司や部下とのタテの関係。次に、自分の業務と何らかの形で接点を持つ別の部門やユニット、地域で働く社員とのヨコの関係。日々職場で優先されるのはどちらだろうか。
世界中の企業のマネジャー、エンジニア、営業担当者、コンサルタントにこの質問をしたが、回答はほぼ決まって同じだ。タテの関係である。
ところが、「顧客価値を創造するために重要なのは、どちらの関係か」と尋ねると、答えは逆転する。今日、イノベーションや事業開拓のチャンスの圧倒的多数は、部門間、拠点間、組織間の接点に存在する。要するに、多くの顧客が望んでいるものの、企業側は手こずっている統合ソリューションの開発には、水平方向のコラボレーションが必要なのだ。