「創造性の競争力」を育むリーダーの3つの役割
「冒険家」「庭師」「選手兼監督」

VUCAと呼ばれる不確実で激動の時代、企業は効率性重視のオペレーションでの競争力を求めるのではなく、創造性において競争力を高める努力が必要だろう。創造性の競争力とは、新しいアイデアを生み出し、取り入れ、巧みに実現させる能力をいうが、これを組織で育むには組織文化と、リーダーが果たす役割が大きい。ここでは、IDEOの経験から明らかになったリーダーの3つの役割──「冒険家」「庭師」「選手兼監督」について解説する。

イノベーションは利益も得るが
失敗によるしっぺ返しも大きい

 1985年にピーター・ドラッカーは、起業家社会について、希望あふれる説を唱えた。すなわち、製造業の撤退で米国ならびにその他の先進国では雇用が減少するものの、イノベーションと新事業の創造が活発になって、それを補って余りある雇用が創出されるというものである。それ以降、米国は経済成長の原動力をイノベーションと起業家精神に見出すようになり、イノベーションと起業家への依存度を高め続けている。しかし、これまでに実現した起業家社会の規模は、グローバル化とオートメーションによる影響を相殺するほどのレベルには達していない。