昨今の企業不祥事、とりわけ隠ぺいや偽装といった行為が生じるのは、その組織が「シングル・ループ学習」にどっぷり浸かっているからだ。もし「ダブル・ループ学習」の組織であれば、少なくともミスは起こっても、隠ぺいや偽装などに発展することはなかったであろう。本稿は、一九七七年に発表されたものだが、これまで未翻訳であった。我々は無意識のうちに、自分勝手な論理でみずからを制約してしまう。その結果、第三者や社会の声が聞こえなくなり、保身に走り、ついには悪い情報を隠したり、改ざんしたりして、組織を危機にさらす。いかにシングル・ループ学習を改め、ダブル・ループ学習へと転換するかについて論じる。