働き方の自由度がますます高まる昨今、リモートワーカーの管理にアルゴリズムを活用する企業が増えている。企業側には労働者を適切に管理できるメリットがあるが、労働者側に不満を募らせる原因にもなりかねず、経営上の深刻なリスクになりかねない。筆者らがウーバーの運転手たちを調査したところ、アルゴリズムによるマネジメントがもたらす、3つの課題が明らかになった。
リモートワーカー(遠隔勤務者)の管理に、アルゴリズムを活用する企業が増えている。「アルゴリズムによるマネジメント」とも呼ばれるこの手法を最も広く採用しているのは、ギグエコノミー企業たちだ。
一例として、配車サービス会社のウーバーは、およそ300万人の働き手をアプリによって管理することで、効率を飛躍的に高めている。このアプリは運転手に、どの乗客を拾い、どのルートをたどればよいかを指示する。
こうした方法による管理は、個人事業主の側にもいくつかのメリットをもたらす。たとえばウーバーの運転手は、いつ、何時間働き、どの地域で稼働するかを自由に決めることができる。
しかしながら、筆者らの研究によれば、アルゴリズムによるマネジメントは働き手にとって不満の種にもなっている。その不満が彼らを反抗的な態度や行動へと走らせ、雇用主に深刻なダメージをもたらす可能性があるのだ。
そして研究を通じて、企業がこれらの懸念を軽減しながらアルゴリズムによるマネジメントの恩恵を得る方法も、いくつか明らかになった。
筆者らは、リオ・ザルマンソン(テルアビブ大学)およびロバート W. グレゴリー(バージニア大学)と共同で、ニューヨークとロンドンのウーバー運転手を対象にマルチメソッド分析を実施した。データを収集するために、34人の運転手に公式・非公式にインタビューを行い、稼働中の運転手を観察し、オンラインフォーラムでの投稿を1000件以上分析し、2015年12月~2018年9月に断続的に報道されたウーバーに関するニュースを検証した。
その結果、ウーバー運転手はアルゴリズムに「働かされる」ことに関して、共通して3つの点で不満を抱いていることがわかった。これらの不満は、アルゴリズムによるマネジメントを行う他の企業でも、同様に見られるものである。