●常に監視されている

 運転手はウーバーのアプリにログインした瞬間から、プラットフォームのアルゴリズムによる観察・監視の対象となる。

 アプリは、彼らのGPSの位置、運転速度、配車依頼への応答率を追跡記録する。そして、どの乗客をどこで乗せ、目的地にどう行くのかを指示する。運転手がアプリの指示から逸脱すると、ペナルティを科されることがあり、場合によってはウーバーのプラットフォームから追放される。

 仕事を監視するという行為は、それを行うのがアプリであれ、人であれ、生産性を低下させうることが知られている。

 分析の結果、運転手が特に不満を感じているのは、乗客による評価という形での業績査定であることがわかった。ウーバー運転手は常時監視に対してネガティブな感情を抱いているが、テクノロジーを介しての(乗客による)さらなる監視によって、その不満が増幅されるのだろうと我々は考えている。

 ●透明性が低い

 アプリは運転手について多くを把握しているのに、運転手がアプリについて知っていることはあまりに少ない、というのも不満の種である。運転手は複雑なアルゴリズムの原理が不透明であることに苛立っており、このシステムは情報を与えず同意も得ぬまま、自分たちを間接的に操る不公正なものだ、と考えている(実際にウーバーは以前、行動科学の知見を活用して運転手に長時間働くようナッジ〔間接的に誘導〕していることを認めた)。

 ウーバーの運転手、そして宅配のポストメイツや出前のデリバルーなど他のギグエコノミー企業で働く人々も、仕事の配分、評価記録の集積、報酬体系に関して透明性の向上を要求している。しかしウーバーのような企業は、自社アルゴリズムの秘密のレシピを競合他社に明かすことはできない、と主張する。

 加えて、最近のAIと機会学習の発展は、次のことを意味している。

 アルゴリズムはいまや、どんな環境でも学習と可変的な調整が可能であり、より複雑な業務(働き手のマネジメントなど)を自動化できる。しかし、そうしたアルゴリズムがより高度になるほど、より不透明にもなり、作成者にとってさえわかりにくいものとなっていくのだ。

 ●人間味の欠如

 ウーバー運転手の報告によれば、彼らは孤独、孤立感、人間味の欠如の3つを同程度に強く感じている。

 交流できる同僚もいなければ、属するチームやコミュニティもない。監督者と個人的に関係性を築く機会もない。アマゾン・メカニカル・タークのようなクラウドワークのプラットフォームで働く人々も、コンテンツの分類やアンケートへの参加といった「マイクロタスク」に従事する中で、同様の不満を抱えている。

 運転手は、こうしたアルゴリズムへのさまざまな不満点に対処すべく、賢い方法を見出している。たとえば、ある運転手はUberpeople.netのフォーラムにこんな投稿をしている。

「システムに、もてあそばれてはダメです。こっちがシステムを手玉に取りましょう。この種の会社は、たまに稼働しなくなる運転手に対してよりよいインセンティブを提供したがる、というのは皆さん知っていますよね。だから、ウーバーで1週間稼働したら、次の週はジュノ、その次の週はリフトで働く、という手もありますよ。私の場合は、ウーバーとジュノの仕事を週ごとに切り替えています」

 運転手らは怒りと無力感を募らせるあまり、不満を意思表示するための創造的な方法を見出している。システムの抜け穴を利用して、人為的にサージ・プライシング(需要急騰時の料金割増)を生み出すなどが、その一例だ。

 また、彼らは政治的な色合いを強めている。ギグエコノミーでは特に顕著だが、配車サービスや宅配の運転手は、日々のルーティン業務で味わっている社会的孤立を埋め合わせるために、オンラインのコミュニティに積極的に参加する。しかし、企業側はそれらのプラットフォームには関与していない。

 そこで、運転手や配達人が互いに助け合おうとする中、より敵対的な、組合型の組織が生まれるようになった。たとえば、シアトルを拠点とする労働者の権利団体ワーキング・ワシントンは、ポストメイツやドアダッシュといったオンデマンド型サービスで働く配達人たちを団結させた。