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従業員をやる気にさせる方法は一つではなく、万能薬はない。ただし、従業員が活きいきと働いている会社には、企業文化の中心に「人」が存在するという点が共通している。本稿では、働きがいのある会社が実践するユニークな取り組みに加えて、そこから学ぶべき教訓を示す。


 偉大な企業文化は何によってつくられるのか。

 この問いを探るため、筆者はこの3年間、同僚のビル・ベーカーとともに、米国で最高とされる会社を研究してきた。その対象に選んだのは、素晴らしい企業文化を持つことで知られる21社である。パタゴニア(アウトドア用品)、モトリーフール(金融情報サービス)、エドマンズ・ドットコム(自動車情報サイト)などだ。

 21社に絞り込むための条件の一つは、2014~2018年に毎年、『フォーチュン』誌や『Inc.』誌など権威あるビジネス誌のいずれかで「働きやすい企業ランキング」にランクインしていること。また、私たちの職場訪問を受け入れ、経営幹部と人事担当者のインタビューに応じ、社員のフォーカスグループを実施し、施設内見学を許可してくれることも条件とした。21社の中には民間企業と公的機関の両方が含まれ、その規模は250人~7000人超と幅広く、分野もテクノロジーから金融、消費財、出版、製薬まで多岐にわたった。

 私たちが目指したのは、多くのビジネス誌のように、これら企業のユニークな取り組みを明らかにすることだけでなく、その取り組みがなぜ大きな成功を収めているのかを明らかにすることだった。

 こうした企業の特徴と、従業員をやる気にさせるための方法は多岐にわたり、いわば「万能薬」は存在しないが、私たちが発見したいくつかの共通点をご紹介しよう。これはけっして網羅的なリストではないものの、企業文化を変えたいと考えている組織にとって、正しい一歩を踏み出す助けになるだろう。