女性に過酷な選択を迫る日本の共働き環境
編集部(以下色文字):デュアルキャリア・カップルは所得や生活水準が高い一方、ハードワークをこなしながら家事や育児と両立させるなど、過酷な話もよく聞かれます。幸福学の研究をされている前野夫妻から見て、日本のカップルは幸せといえるでしょうか。
前野マドカ(以下マドカ):最近、日本のキャリア女性から相談を受けることがよくあるのですが、本来、幸せなはずにもかかわらず、多くの女性は苦しんでいるように見えます。
まずは体力面。厳しい時間的制約の中、仕事と家庭の両方をこなすのは過酷でしょう。次に精神面ですが、私はこちらのほうが深刻だと思います。と言うのも、昇進や異動などのキャリアの節目や、出産や育児、親の介護など人生の節目が訪れるたびに、仕事を取るか家庭を取るかの「二者択一」を迫られるかのような心理状態に追い込まれるからです。