トップを目指す女性には
配偶者の強力なサポートが必要

 上級職人材のスカウトとして成功するためには、何が候補者の心を動かすかを理解することが必要だ。それは仕事の条件とは限らない。転居が必要な職を打診する場合は、特にそうである。多くのケースでは、私は候補者の家庭生活について、配偶者やパートナーの職業、子どもがいる場合にはその年齢、近くに高齢の両親が住んでいるかどうかなどを含め、ある程度のことをすでに知っている。知らない場合には、「私たちが配慮すべき家庭の事情などはありますか」というように、うまく聞き出すようにしている。そうした事情があるならば早い段階で知っておき、特に、それらが合意の「障害」になりうる問題かどうかを押さえておくことが重要だ。

 34年間の経験から述べると、ある候補者を転居が必要な新しい職にスカウトする時、最も克服困難なファクターは子どもたちであった。特に、高校生や特別なニーズのある子どもの場合は難しい(これは候補者が結婚していても離婚していても該当することが多い。元配偶者と共同親権の場合は、転居はとりわけ難しいことがある)。候補者が転居を避けたがる2番目に多い理由は配偶者であり、特に、候補者が職業人としての大きな成功を追求するカップルの一人である場合に問題となる。

 デュアルキャリア・カップルの片方をスカウトしようとする時は、もう一方のキャリアと転居先都市の特性をも十分に理解することが重要だ。いわゆる帯同配偶者となるのに最も難しい職業は、個人営業の医師や法律家、移動不可能な種類の事業主である。こうした人々の多くは、何年も費やして顧客基盤や地域での評判を築いてきている。新しい土地でそれを再現することは難しい。