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「人脈」が営業の成敗を分ける
営業に携わる者ならば、だれでも人脈が何よりも重要だと言うだろう。実際、人脈が豊富な人ほど、たくさんの見込み客を見つけたり、情報を収集したりできる。そして、最終的には売上げに跳ね返ってくる。
このような考え方は、けっして間違ってはいないが、いささか単純な見方である。人脈という資産を一面的にとらえてはならない。人脈にもさまざまな種類があり、その影響力も異なる。ひるがえって、人脈の微妙な違いを理解する能力を磨けば、ライバルに差をつけることができる。
営業プロセスは、案件によってはかなりの時間を要する。くわえて、プロセスの各段階では求められる能力が異なるため、営業担当者が果たすべき役割も変わってくる。たとえば、見込み客を開拓するスキルは、契約をまとめるうえでまったく役に立たない。
さらに、各段階で必要な人脈も変わってくるため、営業担当者は異なる人脈を構築し、活用することが求められる。たとえば、見込み客を集めるための人脈と、顧客の購買意思決定にアドバイスを提供してくれる専門家の人脈にはほとんど共通点がない。にもかかわらず、自分の人脈の効果的に管理する術を心得ている営業マネジャーはほとんどいない。営業担当者に至ってはさらに少ない。
営業関連の人脈をより理解するには、まず営業プロセスを4段階に分けるとよい。すなわち、「見込み客の特定」「見込み客の購買の喚起」「ソリューションの開発」、そして「クロージング」である。
第1段階での成功は、社外や市場全体から、ビジネスチャンスに関する正確な情報をタイムリーに得られるかどうかにかかっている。それが競争相手の知らない情報であれば、なおさらである。
第2段階では、見込み客について的確な情報を把握し、意思決定者と面会する機会を確保し、購買について検討してもらう努力を傾ける。それには、本当の意思決定者はだれか、影響力の大きい人物はだれかなど、見込み客の実態についてあぶり出す必要がある。これらの問いの答えは見込み客の内部にあるので、目的を達成するには相手先のキー・パーソンとの接触が欠かせない。
第3段階では、見込み客のニーズに応えたソリューションを提示するが、まず営業担当者だけではできない。ここでの成功のカギは、ソリューション開発の適任者や必要な資源が社内のどこにあるのかを見極める能力である。また、これらの人材や資源を動員し、ソリューションを開発する能力も成功を左右する。
最終段階、すなわちクロージングでは、顧客の不安をできる限り取り除くことが営業の仕事となる。顧客はさまざまなことに懸念を抱いている。たとえば、本当に最適なソリューションなのだろうか。約束どおりのソリューションを提供してくれるだろうか。少なくとも今後2年間、この企業はつぶれたりしないだろうか。不具合が生じた時、営業担当者はきちんと対応してくれるだろうか等々──。顧客は、このような不安に真摯に向き合ってくれる「別の営業担当者」と話してみたいと思うことだろう。
以上のように、クロージングまでこぎ着けるには、営業担当者はさまざまな人脈を駆使しなければならない。