モノづくりのイノベーションから
顧客起点のイノベーションへ

 日本企業の停滞が続いている。これまでは特にモノづくりで存在感を示してきたが、製品・サービスの高性能化や低価格化が進み、消費者の基本的なニーズはすでに満たされている。モノ自体の価値はコモディティ化する傾向にあり、差別化は難しい。そのため、差別化の対価としての収益拡大も困難になっている。

 世界はいま、製品・サービスの性能で勝負する戦いから、顧客起点の体験・価値を重視する戦いへと大きく転換している。コモディティ化が進展し、顧客ニーズが多様化している中で自社に競争優位をもたらすのは、企業が主導するモノづくりのイノベーションに加えて、顧客体験・価値のイノベーションを起こすことである。

 現代のような激しい環境変化に適応し、そうした顧客起点のイノベーションを起こすためには、学習が不可欠である。ここで言う「学習」とは、仮説を立て、それを検証するために実験し、データを収集して、顧客からのフィードバックを得て軌道修正する、というプロセスの繰り返しを指す。