ブロックチェーン技術で決済取引を変える

 暗号資産というと、その値動きが激しく、一般的に企業活動の決済手段として使うものとは考えられていないだろう。ではもし、この価格が日本円などの法定通貨と連動し、リアルタイムで決済取引を行うことができたら、どうだろうか。直接取引により、送金手数料は既存の決済と比較し抑えられ、堅牢なセキュリティ対策も講じられる。

 これは理想論にすぎないと感じる方も少なくないかもしれない。だが、デジタルガレージの子会社であるクリプトガレージ(Crypto Garage)では、ブロックチェーン技術を用いて、そのような仕組みを開発している。日本円にひも付いた「トークン」を発行することで、暗号資産「ビットコイン」と法定通貨の取引を可能にし、さらにアトミック・スワップという技術を用いて、リアルタイムで同時決済を実現する。これにより、大口の取引であっても、暗号資産を用いて遅延なく、金融取引におけるカウンターパーティリスク[注]を回避して決済を実現できる。

 2019年1月からは、およそ1年かけて国と実証実験を行い、検証を行った。これは内閣府のイノベーション創出プログラム「サンドボックス制度」を利用したもので、言わば国のお墨付きも得たプロジェクトである。2020年夏には、そこで得た知見をもとに本格的な商用サービスをローンチする予定だ。