偉大なリーダーたちは
不透明な時代をどう率いてきたか

 企業でも政府機関でも、世界中のリーダーたちが大変な難題に直面している。恐ろしいパンデミックにより数十万人が犠牲となり、数十億人の生活が激変した。このような状況下で、リーダーたちは人々を導かなければならない。新型コロナウイルス感染症の今後の展開が不透明な中、リーダーたちは、不安におののく同僚や市民をどのように勇気付ければよいのだろうか。また、その過程で自分自身の不安をどうすれば管理できるのだろうか。

 歴史はその導き手だ。ハーバード・ビジネス・スクールのジェームズ. E. ロビソン記念講座教授で、経営管理を専門とするナンシー・コーエンは、Forged in Crisis[注](リーダーの能力は危機の中で育まれる)の著者である。彼女は、歴史上最も偉大なリーダーたち──エイブラハム・リンカーンやアーネスト・シャクルトン、フランクリン・デラノ・ルーズベルトなど──は、進むべき道が不透明な時でさえ、安定性と統率力、希望を提供する術を理解していたと説明する。

 彼らは人々に対して誠実であり、自分だけの不安解消法がわかっていた。そして、大きな痛手を受けたと思われる時でも、小さな勝利を祝ったという。