未来を読み切れない中で
意思決定をどう下すべきか

 不確実性が高く、未来を読み切れない時、戦略をどう策定すべきか。

 リーダーが未来に備えようと思えば、この問いを避けて通ることはできない。新型コロナウイルス感染症が世界で猛威を振るう中、その答えを一刻も早く出さなければならないという切迫感は高まるばかりだ。

 新型コロナ危機が直撃する以前ですら、テクノロジーの急速な変化や経済相互依存の深まり、政治不安の増大が重なって、見通しが次第に読めなくなっていた。不確実性が全方位を覆うと、この状況の特異性を余すことなく表現するために、VUCA(変動性〈volatility〉、不確実性〈uncertainty〉、複雑性〈complexity〉、曖昧性〈ambiguity〉)やTUNA(波乱〈turbulent〉、不確実〈uncertain〉、新奇〈novel〉、曖昧〈ambiguous〉)などの凝った略語が考案された。