
新型コロナウイルス感染症をきっかけに、健康の価値がこれまでになく注目を浴びている。マッキンゼーの調査では、病気が原因で世界のGDPは年間15%落ち込んでいる可能性が示された。企業が、自社の従業員はもちろん、世界中の人々の健康増進に投資することは、経済的にも社会的にも大きな恩恵をもたらす。
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、健康はあらゆる企業にとって重要なテーマの一つになった。
コロナ禍に対処するために、企業はリモートワークを導入したり、職場の物理的な設計を変更したり、ロジスティクスやサプライチェーンのネットワークを見直したり、事業活動の段取りを修正したりしなくてはならなかった。世界の人々の健康と企業の経済的繁栄の結びつきがこれほどくっきりと浮き彫りになったことは、過去になかった。
では、次に何が起こるのか。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの新しい研究によると、世界の人々の健康を守るために賢明な投資を行うことにより、彼らの生活の質を大幅に向上させ、感染症の流行などのリスク要因による打撃を防ぎ、生産高と生産性の向上に伴う大規模な経済的恩恵をもたらすことができる。
それにより経済と社会に及ぶ恩恵は計り知れない。12兆ドルの経済的機会が生み出され、何億人もの人命が救われ、世界中で人々の健康が改善するのだ。
マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの新しい報告書Prioritizing Health: A Prescription for Prosperity(健康の優先度:繁栄の処方箋)は、病気が原因で世界のGDPが年に15%落ち込んでいるという推計を示した。
この値は、2020年に新型コロナウイルス感染拡大がもたらすダメージのおよそ2倍に上る。これは、若死にする人が多くなり、生産年齢人口の潜在的生産能力が失われてしまうからだ。