人生を賭けて
服の可能性を追求する

編集部(以下色文字):変化の激しい時代を生き残るために、これまで以上にイノベーションの重要性が問われています。昨今のイノベーションの議論は技術革新に偏重しているようにも感じますが、柳井さんはどのように評価されていますか。

柳井(以下略):私自身の感覚からすると非常に強い違和感を覚えますが、たしかに最新のデジタル技術を導入することをイノベーションと同義にとらえる経営者は少なくありません。しかし、それは明らかな誤解です。

 イノベーションは技術ありきではなく、アイデアを組み合わせることで生まれます。その組み合わせを考える時に重要なのは、自社のビジネスを通じて人々の生活をどのように変えると、社会を前進させることができるのか、です。自分たちの活動がもたらす影響を想像しながら、社会や消費者の要請に応えることがイノベーションを生み出します。デジタル技術そのものがイノベーションではなく、社会や消費者が先にあるのです。