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伝統企業がデジタルトランスフォーメーションの実現を迫られる中、「社内起業家」が中心となり変革に乗り出す組織が増えている。だが、その取り組みがうまくいかないことは多い。社内起業家は市場だけでなく他部署との激しい競争にもさらされるため、事業成長に必要な支援を得られなかったり、正当に評価されなかったりということが珍しくないからだ。この課題を解決するために、筆者らは「ベンチャー・バイアウト」の導入を提案する。ベンチャーキャピタルの資本と優れたノウハウを借りることで、社内発のイノベーションを後押しすることができる。


 近年、アマゾン・ドットコム、アルファベット、アリババなどのいわばデジタルネイティブ企業が目覚ましいペースで成長するのを目の当たりにして、伝統企業もデジタルトランスフォーメーション(DX)に莫大なエネルギーと資金をつぎ込むようになっている。

 その種のプロジェクトは、意欲的な「社内起業家」(イントラプレナー)が主導する場合が多い。既存企業の中で新しいデジタル関連のベンチャー事業を立ち上げる社内起業家たちは、上層部に初期投資に踏み切らせることのできるビジョンを持っていて、説得力のある主張を展開する。魅力的なデジタル関連の取り組みを推進したいという上層部の思いも、こうした活動を後押ししているのだろう。