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企業が膨大なデータをビジネスに利活用するようになり、消費者は多大な恩恵を得る一方、自分たちの権利が適切に保護されるか否かを不安視している。この課題に対処すべく、新たなプライバシー法の導入など消費者保護の具体策が論じられているが、その議論はデータエコノミーの本質を理解したうえで進められているのだろうか。筆者は、データエコノミーとは物々交換(バーター)経済だと主張する。このような文化人類学の視点でデータエコノミーをとらえることは、データに関する議論に5つのメリットをもたらすという。


 昨今、消費者データの使用は急激に増加し、その慣行に対する世間と政府からの批判も大いに高まっている。

 数年前に大問題となった、ケンブリッジ・アナリティカをめぐる政治スキャンダルを考えてみればわかるだろう。また、フェイスブックなどのソーシャルメディアが独占的な力を乱用していないかどうか、世界各地の規制当局が調査に乗り出しているのもその一例だ。