-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
インドに世界最高のビジネススクールをつくりたい
インド最大にして最高のMBAプログラム、アジアでナンバー・ワンの経営者養成プログラム、世界のリーディング・カンパニーにとって格好のヘッドハンティングの場、世界的な評価、活気あふれる近未来的なキャンパス等々──。
インド・スクール・オブ・ビジネス(ISB)は4年の歳月を経て、ついにここまでたどり着いた。とはいえ、インドは言うまでもなく、世界的なビジネス・リーダーを育成する世界最高のマネジメント・リサーチ・センターになるというビジョンを実現するにはまだまだ道程は遠い。
リーダーシップが、一つのアイデアをみずから信じるのみならず、自分以外の人たちと等しく共有すること、たえず革新を繰り返し、リスクを恐れぬこと、あらゆる領域を超えて協力し合うこと、難局にめげることなく乗り切ること、さまざまなステークホルダーを一つにまとめること、そして画期的な業績を達成することを意味するならば、私にとってISBでの挑戦は、まさしくリーダーシップの体現にほかならない。
現在のISBを目の前にして、私の心には、晴れがましさと同時に感謝の気持ちで一杯である。ISB創設の一翼を担うことができたこと。そして、ISBはまさに私の夢であり、それが実現したこと。晴れがましさはそれゆえといえよう。
その一方で、ISBの創設に貢献されたすべての人たち、すなわち、挫折することなく夢を追いかけた創設者のみなさん、創設の基本理念を記録的なスピードで実現させたプロジェクト・チーム、ISBの提携校の関係者のみなさん、ISBの実現に向けた多額の資金を寄せていただいた方々、キャンパスの設計・施工に尽力された建築チーム、みずからのキャリアを投げ打って、先の見えない新設校に賭けた1期生の諸君、ISBで教鞭を執るために世界中から集まっていただいた教授陣の面々、学生諸君を採用された企業の担当者のみなさん、すべてを実現すべく現場で並々ならぬ努力を重ねたISB理事会のみなさんには、ただただ頭の下がる思いである。
いずれにしても、我々の旅は始まったばかりだ。
私は、教育に並々ならぬ関心を抱いてきた。マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤めている関係上、各国の教育機関と協力する機会に恵まれたことに加えて、複数の学校で理事を務めていたことも、その大きな理由になっている。
そのような私のところに、1996年初頭、インドのある一流大学から「ビジネススクールの創設に力を貸してほしい」という依頼が舞い込んだ。
そこで、インドを代表する実業家の一人、リライアンス財閥のアニル・アムバニ氏と、マッキンゼーで同僚だったアニル・クマー氏にまず相談した。また、インド企業のトップ・マネジメントたちにも尋ねたところ、このアイデアを一様に素晴らしいと評価してくれた。ただし、これだけははっきりしていた。「ありきたりのビジネススクールならば必要ない」