ホット・スポットをデータ分析からあぶり出す

 ある化学サービス会社の営業担当者は何年もの間、受け持ちの地域で成功を収めていたが、競争相手の台頭や需要の変化のせいで、ここ数カ月、売上げが頭打ちになっていた。そこで、このグローバル企業は新しい分析手法を使って、自社のビジネスをきめ細かくチェックした。

 アメリカの7つの地域を70の「マイクロマーケット」に分け、最も可能性が高いところに照準を合わせた。担当者を多すぎる地域から引き揚げ、新たに特定した「ホット・スポット」用の営業シナリオに沿って配置し直した。すると1年も経たぬうちに、マーケティング費用も営業コストも増やしていないのに、売上成長率が倍増した。

 この見事な復活劇のカギは、同社が膨大なデータを統合、精選、分類して効率性の高い営業戦略を立案できるようになったことにある。B2C企業はネット上で消費者が生み出す膨大な量の取引や購入データのマイニングに熟達している。一方、B2B営業組織がビッグデータを使い、戦略全体に影響を及ぼしつつ、リアルタイムで個々の顧客に合わせたセールス・トークをするようになったのは、ごく最近のことである(囲み「ビッグデータとは何か」を参照)。