オペレーションからプロジェクトへ

 静かに、しかし力強く、現代の経済の原動力はオペレーションからプロジェクトへと置き換わった。ただし、この変化の道のりは長かった。

 20世紀を通して、オペレーション(組織の「運営」に関係する)が膨大な価値を生み出し、効率や生産性の改善という面からも膨大な価値を生み出してきた。しかし21世紀に入ると、インターネットの爆発的な成長や製品ライフサイクルの短縮、人工知能やロボティクスの指数関数的な進歩にもかかわらず、欧米諸国の経済成長は、ほとんどの期間で横這い状態が続いている。その一方で、プロジェクト(組織の「変革」に関係する)が、より頻繁な組織改革、よりスピーディな新製品開発、より迅速な新技術の導入などを通して、短期的な業績と長期的な価値創出の両方を牽引するようになりつつある。

 これは世界的な現象である。たとえば、ドイツでは少なくとも2009年以降、プロジェクトがGDPに占める比率が着々と伸びており、2019年には全体の41%を占めるまでになった。その他の国については正確なデータを入手することが難しいが、大半の欧米諸国には同様のパーセンテージが当てはまりそうだ。中国やその他のアジアの主要国など、昔からプロジェクトベースの仕事が重要な成長の源だった国々では、おそらくこの数字はもっと高いだろう。