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成果主義への批判
成果主義への批判がかまびすしい。成果主義を強く否定する意見としては、次のようなものがある。
「人件費を削減する手段である」
「リストラを進める方便である」
「いたずらに賃金や処遇に格差を生み出す」
「金がすべてという考え方である」
「アメリカン・スタンダードの押しつけである」
「日本の組織風土にはなじまない」
また、次のような批判もよく耳にするのではないか。
「短期志向を強化する」
「失敗を恐れるあまり、高い目標に挑戦しなくなる」
「結果のみがすべてという短絡的な発想である」
「努力やプロセスが評価されず、たいてい不満が残る」
「後進の育成がなおざりにされる」
「チーム・ワークが損なわれる」
これらがいわれなき批判であるとは言いがたい。実際、成果主義を導入する際、一連の批判が示しているような不純な動機が少なからず存在していたことは否めない。また、不適切な制度設計や運用が、このように批判されてもいたし方のない混乱を生じさせているのも事実である。
成果主義を導入したことで社内が混乱した企業の場合、社員と経営陣の間のみならず、上司と部下の間や社員同士の信頼関係が弱まり、従業員満足度が低下する。
ひいては、個々人のモチベーションや集団のモラールが沈滞化し、人材の流出が起こる。このような結果、本来の意図に反して、業績の悪化が招かれる。何とも皮肉である。