チームとグループは決定的に異なる

 1980年代初頭、鉄道会社のバーリントン・ノーザン(現バーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道)では、ビル・グリーンウッド率いる少人数のグループが、社内に蔓延する怒りにも近い抵抗にめげることなく、また経営陣たちの反対を押し切ってトレーラーを鉄道輸送するサービス〈ピギーバック〉を開発した。これは後に数十億ドルを稼ぐ事業へと成長する。

 ヒューレット・パッカード(HP)では、医療機器グループが高業績をたたき出していた。この成功は、ディーン・モートン、ルー・プラッド、ベン・ホームズ、ディック・アルバーティング、そして彼らを支えた数人の同志たちのなみなみならぬ努力の賜物にほかならない。彼らは、失敗の烙印を押されていたヘルスケア事業をみごと立て直したのである。

 ナイトリッダーは、傘下の新聞社タラハシー・デモクラットでの成功例をテコに、会長のジム・バッテン(当時。現在はマーク・アーンストが会長兼CEO)が唱える「顧客第一主義」というビジョンを社内に浸透させた。

 そもそもこの試みは、現場の有志14人が広告のミスをなくす活動を始めたことに端を発していた。しばらくして、この14人の使命は全社的な大変革へと発展し、社全体を巻き込みながら新しい使命に取り組むこととなった。

 これらの成功例に共通することは、「チームの成果」であるという点だ。本稿では、真のチームについて述べる。それは、チームと称して動機づけや活性化を狙ったものの、結束のないグループになってしまったものとは異なる。

 高業績を達成するチームとそうではないチームの違いについて、もっと関心を払うべきだろう。しかし困ったことに、チームという言葉や概念は当たり前すぎて、だれもが理解したつもりになっている。

 我々は『高業績チームの知恵』を執筆するために調査を開始した時、こんなことに思いをめぐらせていた。たとえば、チームが実現する業績に差が生じる原因は何か。どのような状況でどのように成果が生み出されるのか。チームの効率を高める方法は何か──。我々は、このような課題への解を導き出したかった。

 そこで我々は、モトローラやHP、湾岸戦争の「砂漠の嵐(デザート・ストーム)」作戦本部、ガール・スカウトといった30以上の企業や団体を訪問し、50以上のチームとそこに属する数百人にインタビューを実施した。