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なぜ大型プロジェクトは失敗するのか
大型プロジェクトは驚くほど、よく失敗する。大規模な技術の導入、合併後の統合、新たな成長戦略の採用などは、数カ月、時には数年にわたり、本腰を入れた取り組みが必要である。
しかし、数多くの研究が示しているとおり、このようなプロジェクトは落胆するような結果に終わることが何とも多い。実際、ゆうに半数以上がそのような結末を迎えるという推定もある。しかも、大型プロジェクトの失敗によって傷つくのは財務面だけではない。自分の仕事をやり遂げようと懸命に働いてきた従業員たちのやる気を奪ってしまう。
ある大手製薬会社のミドル・マネジャーは、次のように語っている。「これまでいくつものプロジェクトに関わってきましたが、しかるべき成果を生み出したプロジェクトなんてものにはお目にかかった例しがありません」
問題は、プロジェクト・チームに、たとえば新しい提案や技術の開発、部分的な解決策ばかりに目を向けさせ、最終結果については、なおざりにさせてしまうプロジェクト・マネジメント手法にある。
このアプローチが意図するところはもちろん、これらの要素を統合して、最終目標を実現させる青写真を描き上げることにある。
しかし、大勢の人材が長期にわたって参加するプロジェクトの場合、これを計画するマネジャーがその際に必要な活動と仕事をすべて特定し、その流れをシミュレーションするなどとても不可能である。
航空機の製造など、高度な技術を用いるエンジニアリングのように、最終結果をしっかりと把握していない限り、必ずと言ってよいほど、何らかの活動や作業が計画からこぼれてしまうのだ。
それに、プロジェクトの計画に盛り込むべき活動をすべて特定できたとしても、それらをうまく統合させることは、困難もしくは不可能と思い知らされるかもしれない。