既存企業が競争力を維持する方法
筆者らは数年前、ある伝統的大企業とともに、産業界の擬似的な墓地をつくった。その墓地は、経営破綻したり、売却されたりした大企業の名前が刻まれた墓石で埋め尽くされた。コダックやブロックバスター、ディジタル・イクイップメント・コーポレーション、パンアメリカン航空、ボーダーズ、HMV、ノーテル・ネットワークス、サーブといった、時代を象徴した企業が埋葬された。
この作業の狙いは、一つの問いについて、ビジネスリーダーにじっくり考えてもらうことだった。「既存企業の衰退は避けられないのか」という問いである。多くの企業リーダーはこの20年間で、企業の存続に対する問いと向き合うようになった。もしかしたら、向き合いすぎたのかもしれない。
長年事業を展開して盤石な市場シェアと多くの従業員を抱える企業は、20世紀の間は肯定的にとらえられていた。規模は資産であり、負債ではないと見なされていたのである。