社員同士の連帯感を高める
リーダーシップの必要性
編集部(以下色文字):いま、リーダーシップのあり方が見直されています。デジタル化やリモートワーク化、アジャイル化などにより、仕事のあり方が変わる中、従業員の仕事を徹底管理するマネジメント手法の効果が弱まりつつあります。たとえば、これからのマネジャーには従業員のコーチとしてその才能を発揮させる役割が求められ、組織もピラミッド型からフラット型への転換が叫ばれています。魚谷社長自身がこれらを体現されてきたと考えていますが、特にコロナ禍を通して、リーダーの役割をどうお考えになりましたか。
魚谷(以下略):世の中では新型コロナが一つのきっかけかもしれませんが、僕自身はかねてより、社員がその力を発揮できる環境を整えることが経営者の仕事だと考えてきました。新型コロナを経て、なおさらその思いを強くしています。
新型コロナの影響で、化粧品産業は大きな打撃を受けました。消費者は外出を控え、マスクをつけるようになりました。そのため、お化粧をしない人が増え、販売現場から客足が遠のき、売上げも目に見えて落ちていきました。新型コロナの感染が広がり始めた当初、現場に近い社員ほどその厳しさを肌身で感じており、社員の不安感が高まりました。
欧州は日本よりも先にコロナ危機が訪れました。イタリアの責任者は、社員を励まそうと日々「しばらくはつらいけど頑張ろう」と社員にビデオメッセージを送り続けていました。社員からは「連帯感」を示す“solidarity”(ソリダリティ)という言葉が数え切れないほど聞こえてきました。それぞれの知恵を絞り、みんなで連帯してこの状況を乗り越えようという意思の表れでした。