これまで広く認識されてこなかった一つに、日本企業の営業利益率の低さという問題がある。1960年代から始まっており、いまだ低下し続けている。これはまさしく日本経済における死角であった。このような低収益性では経済の再生など望むべくもない。変動が常態化した経済では「利益率の経営」こそ有効だ。経済の変動リスクに備えるうえでも、また金融システムの健全性を取り戻すうえでも、日本産業界全体がこの方向へ転換することが急務である。さらに本稿では、この低収益性という問題が、金融システムの健全化という問題と対をなしている点を指摘する。