これまで日本の製造業は、高付加価値経営という名の下、コンピュータ業界のような水平分業が志向された。さらに、自律性を求めて組織の分権化が推し進められた。しかしその多くが、低収益体質を改善できずにいる。サムソン、キヤノン、インテル、IBM、ネスレなどは、売上げも巨額ながら、その利益率も安定して高い。このように持続的成長を実現しているメーカーはどのようなマネジメント・モデルを確立しているのか。2つの戦略論、すなわちポーターらのポジショニング論とバーニーらのリソース・ベースト・ビューを融合させながら、多くの製造業が陥っている「多角化の不経済」を払拭する成長戦略の方向性について考察する。