
リーダーが成功するための条件については、学術界でも実業界でもさまざまな議論が交わされてきた。カリスマ性なのか、影響力や権力なのか、パーソナリティや人物としての魅力なのか、あるいはイノベーションの天才である必要があるのか。しかし、それらはリーダーの成功を予測する最大の要因ではなく、ポジティブな関係性エネルギーこそが最高のリーダーの条件であり、従業員や組織の成功を左右することが、ポジティブ心理学の実証研究から明らかになっている。本稿では、ポジティブな関係性エネルギーの重要性を解説し、「ポジティブエナジャイザー」と呼ばれるリーダーについて論じる。
研究者やリーダーは何百年も前から、リーダーシップの成功の秘訣とは何かを追い求めてきた。その答えを提示すると約束した本が、毎年何十冊も刊行されている。
筆者らは、この問いを実証的に検証することにした。そして検証の結果、リーダーの成功を予測する最大の要因は、カリスマ性でも、影響力でも、権力でもないことを発見した。パーソナリティでも、魅力でも、イノベーションの天才でもなかった。
これらすべてに優先する唯一の要因は、ポジティブな関係性エネルギー、すなわち相手を高揚させ、熱狂させ、再生させるエネルギーであることが明らかになったのである。
このエネルギーは、リーダーシップと組織の成功を予測するうえで、最も活用されていないが、最もパワフルな要因であることが、筆者らの研究で示されている。このポジティブな関係性エネルギーについて、リーダーが知っておくべきことを以下で紹介しよう。