成功するPMO Office、失敗するPMO Office
和田氏は「プロジェクトの横断の全体最適化を行うEPMOに関しては、日本流のアプローチが模索されている」と話し、リクルートで実践される事例を紹介した。
リクルートは大規模ITプロジェクトの推進部隊におけるプロジェクトマネジメント強化を目的に置くプロジェクト型経営を実践。具体施策として、社内のPMOリソースの集約と社外からの大量リソースの確保を同時に行い、プロジェクトの状況に合わせて機動的な投入を行い、すでに「プロジェクト担当社員のコア業務集中」「士気の向上」「プロジェクト品質向上」などの効果が生まれていると分析する。
さらに「リクルートのようにPMO Officeに取り組む企業も増えているが、失敗しているケースも多く見られます。感覚的には7~8割が失敗している」と話し、失敗ケースに共通する特徴を挙げた。
「成功ケースでは、プロジェクトへの派遣メンバーをプロジェクトにコミットさせるよう努めているため、派遣メンバーの中でおのずと自分事化が進みます。しかし失敗ケースではPMO Officeへの帰属意識が強く、なかなかそれがかないません。また、スキルが足りないうちは『パートナーからスキルを獲得する』のがプロジェクトの定石ですが、失敗ケースではとにかく頭数を揃え、かえってプロジェクトを混乱させています。ほかにも、『ベテランのシニア社員の活用を狙うも、その人たちが批評家・評論家になり、手を動かさない』『常にキャパシティが限界に近く、必要な時に必要な支援ができず信頼を損なう』『PMOが自分たちの利益を優先している』などが挙げられます」
最後に和田氏は、プロジェクトベース型の組織を目指す経営者、リーダーに向けて、こうエールを送った。
「プロジェクトベース型へのシフトが回避できない以上、みずから知恵を絞り、そして他人の知恵を借りながら、不退転の決意で取り組まなければ未来はありません。これまで日本企業が培ってきた組織文化を適切に変化させなければならない時代が到来しているのです。トップからボトムまで全社的な取り組みにして、この『大量プロジェクト時代』を乗り切っていただきたいと思います」
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