意思決定者が不在でも
なぜ取引は成立したのか

 2021年11月、個人が集まって法的主体(エンティティ)を設立し、米国ワイオミング州で40エーカー(約16.2ヘクタール)の土地を購入した。

 言うまでもなく、この種の取引は世の中にありふれている。だが、目を凝らしてみると、この不動産取引ならではの特異性が浮かび上がる。

 その購買団体には約6000人が参加していた。彼らはディスコードのようなオンライン上のディスカッションプラットフォームで知り合い、ドルや円といった法定通貨ではなく、暗号資産で土地代を支払った。何を購入したのか、正確なところはわからない。土地自体に対して、そして土地の使用や売却から得られる利益に対して、個人にどのような法律上の請求が発生するのか、定かになっていないのである。