
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
テクノロジーの進化、文化の変容、パンデミック、世界的な紛争……劇的なスピードで世界が姿を変える一方、それらの要因によって消費者の価値観や優先順位も激しく揺れ動いている。不確実で混沌とした外部要因に左右される状況で、企業が従来の「カスタマーセントリシティ」(顧客中心主義)に留まっていては、その変化に対応できない。そこで、筆者らが推奨するのが「ライフセントリシティ」(生活中心主義)への移行だ。本稿では、顧客を「予測不可能な外的要因によって深く影響を受け、常に変化し続ける複雑な人々」だと理解する必要性を説き、変化し続ける顧客ニーズに適応するための3つのアプローチを論じる。
外部要因の激変がもたらす「矛盾した判断」
ほんの20年前まで、ある曲がビルボードのチャートで20週にわたってトップ100にランクインするのは、よくあることだった。しかし、いまはそれも2週間程度だ。同様に、かつてはキャリア全体を通じて有効だったスキルセットも、現在では3~5年ごとに一新しなければならない。
企業の寿命も急速に変化している。S&P500企業の平均寿命は、1965年時点では32年だったのに対して、2020年の段階では21年余りとなっており、2020年代を通じてさらに低下することが予想される。
商品やブランドに対して顧客が愛着を感じるレレバンス(関連性)が高い期間は、かつてなく短くなっているが、何も驚くことではない。テクノロジーの進化、文化の変容、パンデミック、世界的な紛争などが、記録的なスピードで世界の姿を変えている。その結果、単に変化のスピードが増しているだけでなく、変化がより深いところで起きている。
このような不確実で混沌とした外的要因に直面し、人々は「自分は何者なのか」「自分にとって何が重要なのか」を再考している。