不確実な時代に変革をもたらすデジタル投資の考え方
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サマリー:不確実性が高く、デジタル化が進む時代において、リーダーはディスラプションやイノベーション、絶え間ない変化に素早く対応しながら、組織を成長させなければならない。そこで本稿では、変化の激しいIT業界が2022年... もっと見るに得た5つの教訓を振り返りながら、リーダーやマネジャーが組織を成長させるために2023年に行うべきことを述べる。 閉じる

不確実で不透明な時代に
いかに成長を続けるか

 先行き不透明な経済情勢、社会不安や政治不安、環境破壊、地球規模の感染症がもたらしたパンデミックは、世界中の人々や企業に影響を与え続けている。しかし、このような混乱の中でも、マネジャーは前進する力を維持し、チームを成功に導かなければならない。

 2022年、私たちは巨大IT企業が無謀な経営によって失態を演じ、景気後退や革新性の欠如、あるいは不測の事態が重なった影響で、赤字や減益に転落するを目の当たりにした。だが同時に、新たなリーダーも出現した。いっこうに先の見えないこの世界で、チャンスを見出し、その瞬間をとらえ、リスクを取って前進している企業である。

 デジタル化したこの世界では、用心深さが求められる。IT部門のリーダーは、チームと組織がディスラプション(破壊的変化)に対処できるよう備えるだけでなく、製品やサービスを予期せぬ変化に素早く対応できるものにしておかなければならない。ディスラプションを引き起こすのは、いま存在するものだけではない。IT部門のマネジャーは、新たな規制による圧力、未知のサイバー攻撃、拡大するITスキルの格差、新たなテクノロジーのトレンドなどにも対処しなければならないのだ。

 本稿では、ディスラプションやイノベーション、絶え間なく起こる変化に関して、IT業界が2022年に得た5つの教訓と、マネジャーが組織の成長を促すために2023年に行うべきことを述べる。

経済の不透明性が高まるなか
デジタル投資に戦略が必要

 インフレと景気後退は、世界中の企業を苦しめている。経済が停滞したり悪化したりすれば、IT関連支出を含むコストの削減を迫られるのがこれまでの常識だろう。しかし、ガートナーの調査によると、インフレの影響で抑えられるとはいえ、IT関連支出は今後も増加し続け、2023年には5%以上増加すると予測している。

 テクノロジーは、世界経済と深く結びついており、経済の混乱、景気後退から回復へと至るために一役買うことになる。1990年代、ITはあくまでもバックオフィス的な存在であり、削減可能なコストだった。しかし、いまや効率を高め、収益を生み出す役割を担っており、削減すれば間違いなく業績が損なわれる。

 しかしだからといって、マネジャーは安定したIT関連の予算の上にあぐらをかいてよいわけではない。経済的な圧力によって、デジタル投資の価値を短期間で実感したいという欲求と緊急性が高まっており、経営陣は今後もテクノロジーへの投資により大きなリターンを期待し続ける。現在の経済状況においてこそ、企業はテクノロジー・ソリューションに戦略的に資源を投下すべきだ。そして、このような投資を受けるマネジャーは、戦略的にテクノロジーを展開することによって、企業へのリターンを確実に最大化しなければならない。

 たとえば、財務プロセスを自動化し、速く正確なデータ分析を可能にすることで、不確実な時代に適切な財務判断を行えるようにする。社内インフラをクラウド化し、クラウドネイティブ・アプリケーション(クラウド上での利用を前提として設計されたシステム)を導入して、ITコストと業務の効率化を図る。ノーコードやローコードツールを用いた市民(非IT部門)開発の取り組みを促進し、部門を問わずアジリティとスピードを高める。

 すべての業務部門でテクノロジーを利用して、収益源の再構築、キャッシュフローの改善、新たな価値提案の可能性を検討する。このような戦略的なデジタル化を通じて、自社をより強く、スリムで革新的にして、経済的混乱から立ち上がらせるのだ。