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高シェア企業は攻撃されやすい
支配的な市場シェアを獲得する企業は、同じ市場内の他社よりも高い利益を獲得するというのが一般的な認識である[注1]。またその結果、その支配を維持するうえで有益なリーダーシップや影響力、栄誉なども手にすることができるといわれる。
しかし、高い市場シェアは頭痛の種にもなりうる。高シェア企業は、言うまでもないライバルのみならず、隠れたライバルや消費者団体、政府機関などから目の敵にされる。
IBMやジレット、イーストマン・コダック、P&G、ゼロックス、ゼネラルモーターズ(以下GM)、キャンベル、コカ・コーラ、ケロッグ、キャタピラーといった企業は、まさにそのような状況に置かれている。
これらの企業にすれば、市場シェアはその名声の源であると同時に、災いの元でもある。というのも、高い市場シェアを理由に、ライバルに比べて何倍も慎重に意思決定を下し、業務そのものを検討しなければならないからである。
これらの企業はより高い市場シェアを追求しようとはしない。それによってダムが決壊し、反トラスト法違反という洪水に襲われることになるからである。その動きを食い止めるために、市場シェアをあえて減らしている企業すら存在する。
高い市場シェアを獲得する企業は、市場シェアの低い企業がけっして苦しむことのないリスクにさいなまれることになる。ライバルの構成、消費者からの圧力、行政からの監視がその主たる内容だが、これらは高シェア企業に特徴的なものである。
低シェア企業が、高シェア企業に仕掛ける攻撃というものがある。これらは、自社と同等の規模もしくは小規模の企業にとってはほとんど無意味なものだ。
たとえば、高シェア企業がその市場シェアを拡大する過程で、反トラスト法に抵触するような活動を犯してきたことを明らかにせんと、訴訟を起こすといったケースが考えられる。
一例としては、IBMはテレックスに2億5950万ドルの支払いを命じる判決が言い渡された(ただし、控訴審で逆転されたが)。実際、コダックやゼロックス、アンハイザー・ブッシュ、ジレット、ゼネラルフーズなども、この種の訴訟に巻き込まれている[注2]。