フィードバックを迅速かつ簡単に行う
マネジャーがチーム内のインサイトのやり取りをさらに迅速かつ簡単にすると、フィードバックに対する新しいアプローチを促せる。筆者らがこれまで見てきた成功例をいくつか紹介しよう。
アイデア1:「素晴らしい。なぜなら……」
ほめ言葉は、フィードバックのよいきっかけになるが、アクションにつながるインサイトをもたらすことはめったにない。そこで、フィードバックに受け手の成長をサポートする詳しい情報を加えると、その有用性は大きく高まる。
これは、マネジャーがチームメンバーをほめる時に「なぜなら」と加えるだけで、簡単に実現できる。たとえば、単に「あれは素晴らしかった」と言うのと、「あれは素晴らしかった。なぜなら、プレゼン中に口をはさんだ人がいても、君はとても冷静だったからね」と言うのとでは大きく異なることがわかるだろう。
アイデア2:「改善案」の質問
批判的なフィードバックを、改善案と位置づけると、自分の考えを伝えることへの不安を軽減できる。マネジャーは月に1度、次のような「改善案」を聞く質問をすることで、チームにこの種のフィードバックを求めることができる。
・あなたがもっとうまく仕事をするために、私が手伝えることを一つ教えてほしい。
・チームの働き方を改善するために、変更できることを一つ教えてほしい。
・あなたが不満に思っていることで、我々が変えるべきだと思うことを一つ教えてほしい。
こうした質問をミーティングのアジェンダに加えると、日常的な仕事として取り込むことができる。
アイデア3:「チャレンジ・アンド・ビルド」ミーティング
これは、チームメンバーが自分の取り組んでいるアイデアやプロジェクトについてフィードバックを得られる場だ。従業員は、自分のアイデアの概要をチームに示して、それに関する「チャレンジ・アンド・ビルド」ミーティングに参加を呼びかけることができる。このミーティングは、フィードバックを実践し、メンバーが安全と感じられる形で自分の意見を表明する機会と許可を与えてくれる。このようなミーティングでは、次のような質問をするとよいだろう。
・このアイデアで一番気に入っているのはどこか。
・このアイデアが失敗するとすれば、その理由は何か。
・競合他社なら、この問題をどのように解決しようとするだろうか。
問いかけも技術を磨く
多くの人は、フィードバックと聞くと難しい会話を連想するため、「フィードバック」という言葉さえも恐怖に包まれてしまっている。マネジャーが説教するのではなく、問いかけを心がけるだけで、この恐怖を和らげることができる。相手の能力開発に関する難しいディスカッションをする時は、特にそうだ。
マネジャーが「説教する」のではなく「問いかける」ことから始めると、難しい会話が一変する。たとえば、次のような質問が使える。
・そのミーティングはどうだったか。
・その人と一緒に仕事をしてどうだったか。
・あなたはプレゼンのスキルを磨いているけれど、進み具合はどうか。
まずはマネジャーが質問をすれば、相手の自己認識レベルに応じてアプローチを変えることができる。その認識をアクションに移すのを助けるフォローアップの質問としては、次のようなものがあるだろう。
・それをうまく実行している人から、何を学べるか。
・そのスキルを身につけやすい場所はどこか。
・次回は、どこを変えてみるか。
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マネジャーがフィードバックを妨げる要因を取り除くと、
"How Managers Can Make Feedback a Team Habit," HBR.org, April 27, 2023.





