人と機械の新たな関係性を築く

編集部(以下色文字):ロボットや人工知能(AI)技術が進化して至るところで活用されるようになり、人間は社会でどのような役割を果たすべきなのか、ますます真剣に議論されています。ビジネス環境においては、仕事の自動化が加速することが予想されますが、稲見先生は自動化がいかなる変化をもたらすと考えていらっしゃいますか。

稲見(以下略):自動化が進むことで利便性が増したり、作業の正確性を高めたりするなど、そこにはさまざまな利点があります。表計算ソフトのエクセルを使うと複雑な計算を素早く正確に行えるように、特に人間がやりたくないことを代わってもらえるという点に関して、自動化は非常に大きな恩恵をもたらしてきました。

 自動化への懸念として、機械に仕事を奪われるといった話もよく聞きますが、少なくとも現時点で、何でもかんでも自動化できるわけではありません。また、自動化が進むことで人間の仕事が奪われるというより、人間の仕事がますます高度化していくという表現が正確ではないでしょうか。AIやロボットに任せて価値を生める仕事と、人間自身が行うことが価値につながる仕事という二極化が進むだろうと考えています。