同僚との些細なつながりを優先する

 同僚と電話をする時や、一日の中で同僚に初めて会う時、心からの熱意を持って接することを意識しよう。いきなり議題に入りがちなバーチャル会議では、その週に起きたよいことを各自に話してもらうことから始めよう。単に近況を確認するために同僚と連絡を取るよう心掛け、その際は仕事を話題の中心にするのは避けよう。

 パンデミックによる何年もの孤立を経て、私たちの誰もが人間同士のつながりに飢えており、それがウェルビーイングに悪影響を及ぼしている。人間には生来、つながりを築く習性がある。研究によれば、社会的支援と連帯感はメンタルヘルスを向上させ、ストレスと不安を軽減させる。

 したがって、同僚との日々のつながりの瞬間を率先して生み出そう。これにより多くの労力と時間をかけずに、自分の気分を高めて相手の孤独感を減らすことができる。

脳のネガティブなバイアスに対抗するために、感謝する習慣を持とう

 まだ実践していない人は、毎日、感謝する習慣をつくろう。毎朝または毎晩、感謝することを3つ書き出すといった単純な方法でもよい。

 感謝思考を養うことは、常にウェルビーイングに有益だが、現在の不確実な時代には特に効果的だ。不確実性は極度のストレスをもたらし、エネルギーを消耗させる。人間の脳が最も対処しにくいものといえる。

 脳は不確実性に遭遇すると、潜在的な危険を見つけることに集中し、闘争・逃走状態に入ることであなたを守ろうとする。これにより不安が増大し、ネガティブな結果と最悪のシナリオについて考え込む状態につながりうる。

 感謝する習慣を持つことで、脳の「視野」を意図的に広げ、ポジティブで有意義で気持ちが安らぐ物事に注意を向けるのだ。目標は、直面している困難を否定することではなく、それらが自分の生活のすべてを占めるわけではないと自覚することだ。これにより精神的エネルギーが高まり、困難の中で前向きに適応する能力であるレジリエンスが向上する。

仕事から離れてアクティブレストを実践する

 最後に、仕事以外の時間を自分の好きな活動に費やすことが大切だ。好きな趣味に時間を割こう。読書やガーデニングに時間を費やすのもよい。水彩画や執筆など、新しく創造的な活動に挑戦してもよい。

 エネルギーが沸き、仕事上の自分とは別の自分にとって糧となる何かをすることがポイントだ。対照的に、ネットフリックスを何時間もぼうっと眺めているのはアクティブレストではない。好きな番組のエピソードを時々見ることは、素晴らしい選択肢ではあるが。

 私はバーンアウトに陥った後、絵を描くことを選んだ。仕事から完全に離れて、自分の創造的・芸術的な一面を養うことができる趣味を持つことは、私のウェルビーイングへの大きな恩恵となっている。

 看護師のバーンアウトに関する最近の研究は、私の経験を通じての発見を裏づけている。勤務外の時間に、趣味に没頭したり、友人や家族と過ごしたりしてアクティブレストを実践していた看護師は、シフト終了後に仕事から離れることに意識的でなかった看護師に比べ、バーンアウトに陥る傾向が低かった。

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 決まり文句にあるように、「仕事はあなたのすべてではない」のだ。仕事に一生懸命な人でも、むしろ一生懸命であればこそ、仕事以外に楽しめることを意識的に行う必要がある。生産性にこだわる脳が反発するならば、自分にこう言い聞かせよう。アクティブレストは、長期間にわたり仕事で最大限の力を発揮する能力への投資なのだと。


"6 Science-Backed Ways to Improve Your Well-Being at Work," HBR.org, July 07, 2023.