いかに強迫症的な過重労働をしているかを認識する

 自分で気づいていないことは、変えようがない。そこで、以下を自分に問いかけよう。長時間ぶっ通しで働いている時、どれほど頭がクリアで集中力を保てているのか、その時の疲労度は、気分への影響は、身の回りの人たちに及ぶ弊害はどうか。こうした検討作業を行う時は、自分の行動を正当化するため、みずからに言い聞かせるストーリーに惑わされないように気をつけよう。

睡眠とエクササイズに集中する

 一定のリズムに従ってエネルギーを使い、その後にエネルギーを充填するよう努めることが重要だ。十分に休息を取ったと感じるためには、毎晩十分に睡眠を取ることが欠かせない。必要な睡眠時間は人によって異なるが、大多数の人は少なくとも7時間以上の睡眠を取るべきだ。

 もうひとつ重要なのは、1日に少なくとも20~30分間の短いエクササイズを行うことだ。筆者らは2人とも、睡眠とエクササイズの両方を大切にしている。労働時間を抑えることにはいまも苦労しているが、それでも燃え尽き状態に陥らずに済むのは、このどちらも重んじているからだと確信している。

最も純粋に楽しめる活動を選ぶ

 次に、最も仕事から解放される活動を選ぼう。シュワルツの場合、それは社交ダンスとテニスだ。セバーソンの場合は、瞑想とワークアウトである。どんな活動を実践するにせよ、あらかじめ毎週同じ時間にその活動スケジュールを入れよう。そうすれば、それを実際に行う可能性が飛躍的に高まる。

長時間労働の後は特に、身体の変化に意識を向ける

 人間は、コンピュータとは違う。高速で、長時間ぶっ通しで動くようにはできていない。一度に仕事をする時間を90分未満にとどめ、休憩を挟むようにすると、好調を維持しやすい。自分が休息とエネルギーの充填を必要としているかどうかを判断するうえで、みずからの身体こそが最も信頼性の高いバロメーターになる。ところが、私たちは、身体のシグナルを無視したり、そのシグナルに反する行動を取ったりすることがあまりに多い。

 私たちの文化で過重労働がいかに高く評価されているかを考えれば、休憩して、エネルギーを充填するための時間を取ることに不安を感じる人がいたとしても無理はない。だが、慌てて仕事に戻る前に、そうした感情をもう少しだけ長く経験してみよう。不安を感じている自分を観察すればするほど、そのような自分が自分のすべてではないことに気づくだろう。

 仕事をせずに時間を過ごすことに関してあなたが抱いている不安は、それが最悪のものであっても現実にはならない。そのうちに、あなたの「何もしない」能力が次第に高まっていく。燃え尽きをはねのけ、ワーカホリズムを和らげるには、ほんの少しセルフケアを実践することだ。それだけで極めて大きな効果を得られるのである。


"Why We Glorify Overwork and Refuse to Rest," HBR.org, August 28, 2023.