候補者の学位に固執すれば
人材の取りこぼしにつながる

 学士号を取得することで、自分の思考や視野を広げ、高収入で満足のいくキャリアへつながる道を拓くことができる。一方、4年制大学を修了していない人にとっては、文学士(BA)や理学士(BS)を持っていないことが障壁となっている。

 多くの企業では、たとえ4年制大学レベルの教育を必要としない職であっても、学士号を持つ人物を採用することが常態化している。その結果、何百万人もの人々が有望な仕事に就くための機会すら得られていない。

 この傾向は数十年前から見られたが、グレートリセッション(金融危機後の大不況)の間に、よりいっそう強まった。ノースイースタン大学准教授のアリシア・サッサー・モデスティーノ、ハーバード・ケネディスクール准教授のダニエル・ショアグ、ボストン連邦準備銀行リサーチアシスタントのジョシュア・バランスの調査によれば、2007年から2010年にかけて、最低でも学士号を必要とする求人数は10%増加したという。景気が回復するにつれて、この数は多少減少したが、その職で成功するためのスキルと適性を持っていても、大学卒業資格を持たないがゆえに応募できない仕事は依然として多い。