従業員の希望と企業のニーズを一致させる

 2012年、米陸軍は東南アジアにおける人道的危機に直面していた。同地域の緊急援助ミッションを指揮する人材として、関連する言語や文化に精通し、職務上の経験を備えたエンジニアが必要であった。しかし、以前同じ地域に配属された将校を再調査しても、単純に履歴書を検索しても、適任といえる候補者を見つけ出すことはできなかった。

 そこで、米陸軍は「グリーンページ」と呼ばれるインターナル・タレントマーケットプレイス(内部人材市場:ITM)にも目を向けることにした。グリーンページでは、兵士が関連する個人情報と職業上の情報を記入したプロフィールを作成するほか、彼らが空席に応募することもある。各部隊は空席となっているポジションの職務記述書を掲載し、登用可能な士官の評価を行っていた。デーティングアプリのように、マッチングが成立すると、グリーンページが双方に通知を送る。

 陸軍がグリーンページに求人を掲載した時、偶然にも理想的な候補者が新しい職務を求めて、このプラットフォームを検索していた。彼の履歴書には、当該地域で働いた経験について書かれてもいなければ、当該地域の人々と多くの面で共通する文化を持つことも明かされていなかった。しかし、グリーンページのプロフィールには、それぞれの詳細が記載されていたのだ。彼がそのポジションに応募し、双方のマッチングが成立すると、陸軍は危機対応の指揮官として配属した。