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BMWが編み出した学習型プロジェクトマネジメント
自動車大手のBMWは2000年、短期間で製造を行うラピッドマニュファクチャリングを活用した自動車大量生産の可能性を模索する方針を決定した。たとえば、まったく新しい自動車製造の方法を切り開き、車種ごとの最低生産台数をこれまでよりも大幅に引き下げることにより、提供する車種、そして顧客の選択肢を拡大できないかと期待したのだ。
しかし、新しいテクノロジーが途方もなく大きなチャンスを生む可能性があるとは感じていたものの、BMW社内の誰一人として、このビジョンを実行に移すためにどのような行動を取る必要があるか、わかっていなかった。その結果、それまでに確立されていたプロジェクトマネジメントの方法論は一つも適用できなかった。
BMWは、その後の20年以上にわたる取り組みの末、新しい「学習型」のプロジェクトマネジメントの方法論を編み出した。具体的には、壮大で漠然としたビジョンを小規模なプロジェクトに切り分け、まず「直近」で目指すゴールを設定する。そして、一つのゴールに到達すると、その前のプロジェクトから学習したことを踏まえて、次の新しいプロジェクトに乗り出す。こうしたアプローチは、本稿の筆者の一人であるクリストフ・ロッホの共著Handbook on Innovation and Project Management(未訳)の第10章に記されている通りのやり方だ。
一つひとつのプロジェクトは、それ自体としても一定の価値を持つものだった。しかし、一連のプロジェクトに次々と取り組んでいった真の目的は、現実的な形でスケールの大きいビジョンを浮かび上がらせることにあった。