パーパスが従業員に浸透していない時、どうすればよいか
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サマリー:CEOの多くは、優れたパーパスの重要性を高く評価している。その一方で、実際の職場においてはそのパーパスが従業員に浸透していないことが筆者の調査で判明した。つまり、企業の掲げるパーパスと従業員の置かれた現... もっと見る実との間に大きなギャップが存在しているのだ。本稿では、このギャップを埋めるために行うべき5つの手法を紹介する。 閉じる

パーパスと従業員の現実との間にあるギャップ

 ハーバード・ビジネス・スクールで開催している新たなCEOワークショップで、筆者がCEOたちに対して「企業が優れたパーパスを掲げ、それを実践することの重要性」を数値化するよう求めた時のこと。彼らの回答の平均値は、10点満点中、9.1点だった。その一方、「そのパーパスが職場でどの程度、効果的に実現されているか」を尋ねると、回答の平均値はおよそ6点に留まった。この差異は、企業の掲げるパーパスと従業員の置かれた現実との間に大きなギャップが存在することを浮き彫りにしている。

 このギャップを埋める方策を見つけない限り、企業は潜在能力を存分に発揮できない。ギャップを埋めるためには、現場の従業員が自社のパーパスと価値観を受け入れ、実践するために必要な要件を探し出す必要がある。

 筆者は過去数年間にわたり、この課題についてさまざまな手法で研究する機会に恵まれてきた。まずはベスト・バイを率いる立場で、その後は複数の企業やリーダーと協働し、彼らがパーパスを実践し、「人間の魔法」と筆者が呼ぶ力を解き放つための旅路を通して、だ。