
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
リーダーの意思決定に、チームは納得しているか
今日の組織でシニアリーダーを務める人たちは、難しい戦略上の問題について意思決定を行うという手ごわい課題に対処しなくてはならない。その際、人々が先入観を持って議論に臨んだり、既存の考え方を正当化するためにデータが捻じ曲げられたりする場合がある。
筆者らは、企業のリーダー陣が革新的な変化を乗り切るための支援を行っており、日々こうした状況を目の当たりにしている。自社の中核を成してきたビジネスを継続すべきか、それとも新しい成長の機会を追求すべきか。いま話題になっている最新のテクノロジーに投資すべきか、それともしばらく様子見したほうが賢明なのか。このような問いは、容易に答えを出せるものではない。後から振り返った場合でさえ、どのような選択が正解だったかはなかなか明確に見えてこない。
筆者らは20年ほどの年月を費やして、リーダーたちがこの難題に対処するのを助けるためのツールを開発した。そのツールとは、「戦略スパーリングセッション」と呼んでいる活動だ。この活動は、没入型の双方向形式のディスカッションを行うことを通じて、言ってみれば「霧の向こう側」を見通すための後押しをすべく設計してある。今日の世界では、企業が不確実性に直面し、深い霧に包まれたような状態に置かれることが珍しくないからだ。
この活動を「スパーリングセッション」と名づけたのは、ボクシングのトレーニングで行うスパーリングさながらに、人々がさまざまなアイデアをぶつけ合い、自分たちの先入観を根本から問い直し、未来の戦いに向けて準備する機会だからだ。このようなセッションを通じて、チームのメンバーが重要な基本認識を共有し、これから歩む道について強い自信を抱き、個人レベルと集団レベルの変革に乗り出すよう促そうというのである。
たとえば、コロナ禍においてリモートワークを導入した職場で、「オフィスへの出社再開」(リターン・トゥ・オフィス=RTO)を推進すべきか否かをめぐる議論でも、戦略スパーリングセッションは極めて有効である可能性がある。昨今、オフィスへの出社再開をめぐる議論は、ますます大きな対立の原因になり始めている。