「働きたい場所」と「会社が求める勤務形態」の違いが従業員に与える影響
Illustration by Klawe Rzeczy
サマリー:勤務形態に関する「企業の戦略」と「従業員の好み」が一致しているか不一致かによって、従業員にユニークな人格が生まれることがわかった。本稿では、筆者らが発見した9つの人格の特徴を図表に示して説明するととも... もっと見るに、企業の戦略と従業員の好みを一致させるための方法を紹介する。 閉じる

勤務形態に関する企業の戦略と従業員の好み

 このところ会社は、コロナ禍前と同じ勤務形態を復活させたい管理職と、在宅勤務を愛する従業員が衝突する場所として描かれがちだ。しかし、これはキャッチーではあるものの、不正確な描写である。むしろ現在の職場は、組織が「ニューノーマル」に対してさまざまなアプローチを試している実験場といえる。企業文化を守るために、原則出社勤務という挑戦的な戦略を取る企業もあれば、従業員に最大限の柔軟性を認める原則リモート勤務という戦略を取る企業もある。はたまた、企業文化と柔軟性をミックスしたハイブリッド勤務を試す企業もある。

 この3つの戦略の有効性をより詳しく知るために、筆者らは米国内の3つの企業で聞き取り調査と観察調査を行った。対象者の構成は、一般従業員が72人、管理職が17人となっている。3つの企業は、原則出社勤務、原則リモート勤務、またはハイブリッド勤務という対照的な戦略を取っていた。しかし企業が懸命に戦略を練っている間に、従業員が好む勤務場所は、早い段階で、自宅か、オフィスか、またはそのミックスかに心が決まっていることがわかった。

 問題はここからだ。勤務形態に関する企業の戦略と従業員の好みは、それぞれ独立して存在するわけではない。つまり、企業の戦略と従業員の好みの一致(または不一致)は、従業員にユニークな人格を生み出しているのだ。筆者らが発見した9つの人格を、以下の図表を使って説明しよう。