リモートワークは異常気象のリスクから企業を救う
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サマリー:コロナ禍では、リモートワークへの備えが整っているかどうかが企業業績などを大きく左右した。リモートワークへの準備態勢は、パンデミックだけでなく、吹雪や洪水、ハリケーン、森林火災の煙害など予期せぬ自然災害... もっと見るによって出社勤務が難しくなった場合にも恩恵をもたらす。さらにこの備えは企業内においても多くの相乗効果を生み出すため、費用対効果が高いものといえる。 閉じる

リモートワークへの備えがもたらす好影響

 現在、リモートワークの費用と効果をめぐり白熱した議論が展開されているが、極めて重要なプラス面が過小評価されやすい状況が生まれている。必要に応じて、リモートワークに迅速に移行できることは、企業に重要な保険に近い柔軟性をもたらす。この種の柔軟性は、悲しいことに、異常気象が頻発する温暖化した世界では、ますます重要になるだろう。

 コロナ禍では、リモートワークへの備えが整っているかどうかが極めて重要になった。パンデミックの初期、安全に出社勤務することが突然不可能になった。このため、リモートワークに対する準備態勢が整っていた企業は、そうでない競合企業と比べて、四半期の収益の落ち込みが平均9881万ドル少なく済み、純利益や株式リターンも上回った。この現象は、2020年の第1四半期~第3四半期に最も顕著に見られた。

 コロナ禍が長引くにつれて、リモートワークへの対応が遅れていた企業も、技術系人材を採用したり、IT投資を拡大したり、リモートワークを可能にする人員再編をしたりすることにより、ようやく追いつき始めたが、すでにダメージが生じた後だった。