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サービス経済はコンサルティング力を求める
モノ経済からサービス経済へ──。この流れはもはや不可逆的で、製造業をはじめとする旧時代のキー・プレーヤーにゲーム・ルールの変更を余儀なくしている。
1997年、奇しくもゼネラル・エレクトリックやIBMが「サービス・カンパニー宣言」を発したのを契機に、ユナイテッド・テクノロジーやボーイング、ロールスロイス、あるいはヒューレット・パッカード、デルコンピュータなど、ライバル企業たちもサービス・ビジネスへの傾斜を高めていく。
この新しい現実は、新しい能力の必要性を示唆している。顧客の問題を解決する力、すなわち「コンサルティング力」が求められているのである。この能力は、あらゆるB2B産業のプレーヤー、特にその顧客接点を預かる営業担当者やサービス担当者に要求されている。
また「士族」と呼ばれる弁護士、会計士、税理士といった有資格者たちも例外ではない。これらの市場はすでに成熟化しているばかりか、アメリカで個人資産計算ソフトの〈クイッケン〉が会計士の仕事の相当部分を代替してしまったように、その専門知識は標準化、いわばコモディティと化している。つまり専門知識プラス・アルファの価値が差別化のカギなのだ。
商社にしても、ここ数年来、縦割りから、全社の力を総合させるソリューション・プロバイダーを標榜する動きが顕著になっている。優れた流通企業は、単なるバーゲニングを行使することにとどまらず、メーカーへの企画提案力を強化する傾向にある。
このようにサービス経済への移行が進むにつれて、価値を創造する能力のタイプが変わってきている。しかし、コンサルティング力は体系的な学習が難しく、それゆえその質も属人性に左右されやすい。個人能力としても、いわんや組織能力としても習得が難しい能力の一つなのである。
エイドリアン J. スライウォツキーは、99年に『インダストリー・ウィーク』誌が「経営に関する世界の6賢人」として選出した一人で、唯一のプロフェッショナル・コンサルタントである。なお、そのほかの5人とは、ピーター・ドラッカーやマイケル・ポーター、ビル・ゲイツ、ジャック・ウェルチ、アンディ・グローブである。