
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
組織に学習する文化を根づかせる方法
5年前、米国海軍のリーダーたちは、途方もなく手ごわい課題に直面していた。実際に稼働可能な状態にある戦闘機の数を大幅に増やす必要に迫られていたのだ。
F/A-18戦闘攻撃機は、米軍にとってとりわけ重要な航空機の一つだが、2010年代にはある問題に悩まされていた。整備などの理由により、極めて多くの機体が稼働できない状態にあったのだ。2018年の時点で、作戦隊に配備されているF/A-18の半分近くが「稼働不能」だった。これを金額に換算すると、世界中の格納庫に何十億ドルもの資産がただ眠っている状態に等しい。軍事的に言えば、多くのF/A-18飛行大隊が完全に稼働可能な状態ではないことを意味した。
2018年、当時のジェームズ・マティス国防長官は海軍に対し、稼働可能な状態にあるF/A-18の数を1年の間に、常時260機から341機まで増やすよう指示した。空軍に課せられたミッションに照らせば、その水準を達成することが不可欠だと述べたのである。
多くの軍幹部は、その目標を達成することは不可能だと考えていた。しかし、組織学習への関心を高めて、それまでとは異なる行動や問題解決のツール、そしてコラボレーション重視のアプローチを採用することにより、海軍はその目標を達成した。しかも、それだけに留まらず、目標を上回る成果を上げ、その状態を持続できている。
F/A-18に関して改善を成し遂げた道のりは、海軍にとって、より広範な変革への一歩にすぎなかった。海軍は、この取り組みにより得られたインサイトと手法をすべての航空機の機種へ応用し、さらには、水上艦の整備に始まり、サプライチェーンとロジスティクスに至るまで、広範な領域の主要な機能へと拡大させていった。この過程で海軍が得た教訓は、同じように学習が必要とされる大規模な変革に悪戦苦闘する官民の多くのリーダーたちにとっても役に立つかもしれない。
まずミッション主導かつ明確で期限のある目標を設定する
1年以内に常時341機のF/A-18を稼働可能な状態にするという目標を最初に言い渡された時、多くの海軍当局者はこんな反応を示した。「そんなの無理に決まっている」