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AI関連事業の差別化要因はビジョンと戦略に
高金利が続く中、ベンチャーキャピタルによる投資金額は、ほんのしずく程度になっている。ただ、AI(人工知能)だけは例外だ。投資家たちは2023年上期に、400億ドル以上の資金をAIベンチャーに注ぎ込んだ。著名なアクセラレーターであるYコンビネーターの最新バッチでも、3分の1以上がAIベンチャーである。誰もがAIの波に乗ろうとしており、乗り遅れることへの不安は大きい。
数十もの分野でAIスタートアップが爆発的に増加して見えづらくなっているが、その多くには共通点がある。それは、同じ基礎技術の上に成り立っている点だ。これまで企業は、独自のシステムを構築したり開発したりする必要があった。だが今日では、AIを活用した新しいベンチャーのほとんどは、オープンAIかグーグル、メタ・プラットフォームズといった少数のAI大手による標準化された技術の上に成り立っている。
筆者は長年、標準化が創造性や競争力に与える影響を研究してきた。ビデオゲームにせよ、アップルのアップストアにせよ、誰もが同じツールボックスを使う場合に一貫しているのは、多少大きなハンマーを使ったところでさほど違いは生まれないという点だ。企業を際立たせるのは、テクノロジーではなくビジョンと戦略である。
生成AIの分野では、技術の標準化が進んでいることから、以下の3つのトレンドが予想される。
1. 企業は独自の技術ではなく、ビジネスモデルで成功する
プラットフォームモデルは、強力なリソースへの共通のアクセスを提供するため、単独の開発者や新進気鋭の企業が大企業と肩を並べて競争するのに役立つ。たとえば、アップストアのエコシステムにおいて、開発者は一から製品をつくる必要がない。アップルが提供するツールを活用することで、煩雑な技術的プロセスのごく一部を担うだけで済み、今日見られるような多様なアプリの誕生を可能にする。