サマリー:企業が自身の描く未来の姿へと変革を遂げる過程で、それを支援するコンサルティングファームは3つの重要な役割を担うという。以前の「提言型」から「伴走型」「自立支援型」へと支援の形を変えた、その内容とは。

クライアントに寄り添い、ハンズオンで課題解決やプロジェクトの実行支援を行う「伴走型」「自立支援型」コンサルティングファームのニーズが高まっている。その背景や企業の課題、コンサルティングの役割の変化について企業戦略のエキスパート、京都先端科学大学教授 で一橋大学ビジネススクール客員教授の名和高司氏に聞いた。

変革は企業の本質から紡ぎ出されるもの

 変化の激しい時代、企業は生き残りをかけ、こぞってDX(デジタル・トランスフォーメーション)をはじめとした変革に取り組んでいるが、成功している企業は少ない。

 一橋大学大学院教授の名和高司氏は、その背景に「舶来病」と「風土病」があると指摘する。

「舶来病は海外の一見『イケている』かに見える経営理論を表面的に『コスプレ』のように真似るだけで、変革が根づかないことを指します」

 風土病は、現場主義の経営者や護送船団型の産官学がもたらす日本企業の癖で、懐古趣味的に足元からの積み上げの既定路線を踏襲することだ。

「こうした帰納法的な思考は、堅実ではあってもできることしかやらず、成長スピードが遅くスケール化もしない。自分たちのありたい姿を先に考え、私がよく言うMTP(Massive Trans-formative Purpose、野心的な変革目標)を演繹的に設定し、そこからバックキャストする発想になりにくいのです」