
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
部下の率直な意見を引き出すにはどうすべきか
「うーん、前に進むためにどうするのがベストなのか、わかりません。みなさんは、どうしたらよいと思いますか」
世界的な金融サービス企業のCEOを務めるジョシュ(*)は、チームのミーティングでそう語りかけた。彼らは苦境に立たされている製品ラインの難題を解決するために話し合っていた。ジョシュは人望が厚く、実に頭が切れる。実際、その賢さから、チームは問題解決を彼一人に頼るようになっていた。ジョシュはそうした状況を変えて、全員がアイデアを提供し、彼のアイデアに反論して、困難な問題への取り組みを共有していると実感してほしかった。
筆者は組織の率直さについて幅広く研究しているため、リーダーたちから、メンバーが自分に対して、より正直になってくれるためにどうすべきかという助言を求められることも少なくない。組織では上に行くほど、受け取る情報や意見が無機質なものになり、人はこびへつらうようになることがよく知られている。異なる意見を歓迎する環境を、どのようにつくればよいのだろうか。
心理的安全性は重要だが…
従業員の声という概念は、行動科学の用語で、不正行為や差し迫った窮地などについて自分の考えを話したり、自由にアイデアやフィードバックを提供したりする状況を指す。数十年前からさまざまな研究が行われてきたテーマであり、その多くは、誰かが発言していれば(あるいは発言した人に耳を傾けていれば)、防げたかもしれない恐ろしい惨事の分析に注目している。