イノベーションプロジェクトと
戦略目標が結びついているか

 企業は通常、イノベーションプロジェクトをポートフォリオとして扱う。すなわち、さまざまな戦略目標の達成を目的とするプロジェクトの集合体として扱うということだ。その中には、ビジネスプロセスを改善するプロジェクトもあれば、新しい製品やサービスを開発するプロジェクトもある。

 そのようなポートフォリオの概念は有益な一方、筆者らの研究では、ポートフォリオの目的が過度に標準化されすぎていることが示された。言い換えると、「漸進的な改善と新技術の応用とのバランスを取る」など、ほとんどの企業が似たようなポートフォリオ目標を達成しようとしているのだ。

 経営幹部は多くの場合、正味現在価値(NPV)などの標準的な業績指標を用いて、個々のプロジェクトを慎重に評価する。しかし、ファイナンスから借用してきた考え方、すなわち分散投資はリスクを軽減させるという一般的な概念を超えて、自社の競争的ポジショニングの確立に向けてどのタイプのプロジェクトが必要かの検討には、ほとんど時間を割かない。その結果、イノベーションプロジェクトは独自の戦略目標との関連性が薄くなりがちで、最悪の場合、自社の戦略に反することもある。